三匹の子豚の物語
昔、昔。ある所に三匹の子豚の兄弟がいました。
三匹は産まれてすぐに両親を失い三匹だけで生きてきました。
しかし。三匹はけっして孤独ではありませんでした。三匹はいつも一緒にいたからです。
三匹はある日。子鹿の兄弟に会いました。子鹿には両親がいました。その時。三匹は始めての感情を抱きました。寂しい。寂しい。寂しい。しかし。三匹は笑いました。
「ブヒ!ブヒ!ブヒ!」。
三匹は笑いました。
三匹はいつも一緒にいました。毎晩。宴会を開きました。鼻息を響かせながら踊りました。お月様の輝きに負けない様に踊りました。兎も羊も蛇も猫も三匹と一緒に踊りました。三匹はだんだんあの時に抱いた感情を忘れてしまいました。寂しいなどとは思わなくなりました。
三匹はいつも一緒にいました。三匹はずっと一緒だと信じていました。
ある日。三匹は些細な事から喧嘩をしました。三匹はいつも一緒にはいなくなりました。三匹は皆、誰かが誤るのを待っていました。長い間、待っていました。何年か過ぎて一番下の弟が誤りに行く決意をしました。ごめんなさい。ごめんなさい。
しかし。他の二匹はすでに亡くなっていました。
三匹はもう一緒にはいられなくなりました。一番下の弟は後悔しました。心から後悔しました。しかし。一番下の弟は笑いました。
「ブヒ!ブヒ!ブヒ!」。
一番下の弟は笑いました。
三匹はいつも一緒にいました。一番下の弟はあの頃を思い出して踊りました。鼻息を響かせながら踊りました。お月様の輝きに負けない様に踊りました。一番下の弟は始めて気付きました。あたりまえなど無かった。あたりまえでは無かった。暫らくすると一番下の弟は眠りにつきました。長い。長い。眠りにつきました。永遠を求めて。
「ブヒ!ブヒ!ブヒ!」
おぃらはいつも思うんだ。永遠に続けばいいのに。失いたくない。失いたくない。大好きな奴等とね。大好きな空間にいるとね。いつも思うんだ。この場所を失いたくない。
だけどね。おぃらが立ち止まっていてもね。世界は回っていく。おぃらが動けないでいてもね。時間は流れていきやがる。時間は流れていきながらね。いろんなもんを変えちまう。
素直になれなかったりね。恥ずかしかったりね。意地をはってみたりね。寂しくてね。距離をあけたりね。そして後悔する。そんな自分が嫌いでしょ-がねぇ。
大好きな友達が亡くなった日。世界で1番大切な人を失った夜。1番の親友が病気で死ぬかもしれねぇと聞いた時。おぃらは沢山。沢山。後悔した。大切にしてるつもりだったのに。大切にしてるつもりだったのに。全然。大切にできてなかったんだ。失う事を意識していたのにね。心のどっかで。どっかではね。失う事はないんだと思ってたんだ。
おぃらはもう後悔したくない。せめて。せめておぃらにとって大切な人。大切な居場所はね。失いたくない。後悔しないように。後悔しないように。腹の底からね。笑っていれたらいいな。
ブヒ!ブヒ!ブヒ!
今日のお薦めBGM=忘れらんねぇよ「この高鳴りをなんと呼ぶ」