あの頃ずっと見ていた君の笑顔が今も変わらずにあればいいな
前回の続き。
小学6年生。同じクラスになったおぃらと美香ちゃん(仮名)。同じクラスになったからってね。別に何も変わらなかった。ただ。ただ気づかれないように。気づかれないように。いつも見ていた。いつも目に焼き付けてた。授業中。休み時間。放課後。体育大会。遠足。視線の先にはね。いつも美香ちゃんがいた。ストーカーじゃねぇよ。小学生なりにね。恋をしてただけなんだ。
冬休みも終わってね。小学校での生活もあと僅かになっちまった。2月。おぃらはただ。ただこのまま終わらないでくれと。美香ちゃんが見れる距離にいさせてくれと。願っていた。そんな小学生最後のバレンタインデー。おぃらは美香ちゃんからチョコをもらった。もちろんね。おぃらにだけじゃなくてね。他の奴にも美香ちゃんはあげていた。義理チョコだったんだろうけどね。今までね。恥ずかしくてね。緊張してね。まともに話もできなかったおぃらはね。チョコを貰った時にね。美香ちゃんと笑って話ができたんだ。それがね。それが嬉しくてしょうがなかった。
美香ちゃんからもらったチョコはね。なかなか食べれなくてね。何日も何日もかけて食べた気がする。
バレンタインデーから何日かしてね。友達に遊びに誘われた。男子3人と女子3人で公園に遊びに行こうとゆう誘いだった。
女子の1人はね。美香ちゃんだった。おぃらは興味なさそうにしながらもね。「しょうがねぇから行ってやるか」と即答してやった。
当日。6人で歩いて30分くれーかな。高台のある公園に行った。小学生だもん。公園で充分、楽しかった。あんまり覚えてないけどね。走り回ったりね。滑り台滑ったりね。しょーもない事だったけどね。キラキラした時間だった。
疲れ果てた頃。おぃらは美香ちゃんと2人きりになった。高台に座り、お喋りをした。美香ちゃんはおぃらが体育の授業でバスケットボールをしててね。シュートを決めた姿が格好良かったと言われた。流川楓か八村塁並だったんだろうな。おぃらは美香ちゃんが好きだとやんわり伝えた。始めての告白だった。おぃらと美香ちゃんは付き合う事になった。
小学6年生。人を好きだとかね。人を愛するだとかね。何もわかってなかった。おぃらはね。おぃらはただ。ただ好きでね。美香ちゃんの事をね。誰よりも見てたはずなのにね。ちゃんと見れていなかった。
彼女の中にある。苦しみ。哀しみ。あの頃のおぃらはね。気付いてあげるどころかね。彼女にそんな側面がね。あるとする思っていなかった。
続きは次回。
今日のお薦めBGM=花男「糸電話」