独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

灯りは消さない

前回の続き。一緒にいると楽しかった。傷だらけの心が癒された。だけど。明子ちゃんを。おぃらは好きではいれなかった。誤魔化す事はできてもね。好きにはなれなかった。本当に好きにはなれなかった。心の中には別れた彼女の存在が大きすぎて隠しきれなかった。



そして。明子ちゃんは自分から連絡をくれなかった。電話もメールも明子ちゃんからは来なかった。明子ちゃんは「私はそれが普通だよ」と言っていた。おぃらにはそんなの愛されてる気がしなかった。愛されてるだなんて思えなかった。

 

一緒にいれば楽しい。だけど別れておぃらから連絡しないかぎり次にいつ会えるかも解らない。そんなのフザけてるとしか思えなかった。それでも。闇に押し潰されちまいそうな時。孤独に押し潰されちまいそうな時。おぃらは明子ちゃんに電話をした。明子ちゃんしかいなかったから。おぃらは彼女を利用していたのかもしれない。そして。心の中ではいつも思っていた。

「こんなの愛じゃない」。

「愛が欲しい」。



誰も助けてくれない事は解っていた。だからね。おぃらは明子ちゃんと付き合いながらね。他の人を探した。他の人を求めた。

 

そんな事をしているうちにね。明子ちゃんと連絡を取らなくなった。おぃらから連絡をしなくなったから。連絡をしなければね。連絡は来なかった。おぃらは新しい世界で。新しい人達との日々の中。次第に明子ちゃんの事を忘れていっていた。おぃらの中ではね。連絡をしなければ連絡が来ない。そんなの終わってるとしか思えなかったんだ。最低だけどね。自己完結していた。



それから暫くして。おぃらは他の人と付き合っていた。明子ちゃんの事なんてね。たまにしか思い出さなくなっていた。そんなある日。明子ちゃんから連絡が来た。「元気?久しぶりに会えない?」。おぃらは「今、忙しいから」と断った。その何日か後。明子ちゃんはおぃらの職場の近くにまで会いに来た。凄く。凄く。哀しそうな顔をした彼女。「元気?」と言われ「今は凄く元気だよ」と一言二言会話をしておぃらは「忙しいから」とその場を去った。明子ちゃんと会ったのはそれが最後。明子ちゃんの顔を見たのはそれが最後だった。



おぃらはきっと明子ちゃんの中で最低なんだろうな。明子ちゃんの中で最低な人なんだろうな。おぃらは「どうでもいい・・・」。そう思ってしまうとね。気持ちを何一つ言葉にしない。きっと何も伝わっていない。言葉にする事を恐がっている。逃げている。いつもだ。



高校生の頃。明子ちゃんと付き合えていればね。きっともっと違った形になったかもしれない。純粋に好きだった気持ちのまま。彼女と接する事ができたかもしれない。それでもね。寂しがりなおぃらと明子ちゃんはね。きっと合わなかったと思う。明子ちゃんはマイペースで裏表がない。普通の家庭で普通に育った普通の子。汚れていないんだ。きっと。きっとおぃらの事なんてね。解らない。解るはずがないんだ。

 


この前。明子ちゃんを見た時。男の人と手を繋いで歩きながらね。本当に。本当に幸せそうに笑う笑顔を見てね。なんだか嬉しかった。なんだか嬉しかったよ。きっと幸せなんだろうな。幸せでいてね。明子ちゃんは明子ちゃんらしく。笑っていてね。

 

おぃらは「永遠」じゃないものなんてね。あまり意味が無いと思ったりもする。思い出になっちまうのは嫌だ。思い出になっちまうのは恐い。明子ちゃんとおぃらは永遠どころか。一瞬の時間を共にしただけ。それでもね。明子ちゃんに助けられたのは間違いない。

 

明子ちゃん。あなたの無垢な笑顔に助けられたんだ。おぃらは今も。今もこんなんだけどさ。自分の事もちゃんとできてないけどさ。あなたの幸せを祈っています。ありがとう。

 

今日のお薦めBGM=森高千里「雨」