独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

it sing a star

真夜中の午前5時。夏がすぐそこまで来てやがるのにね。外はまだ肌寒い。おぃらはね。部屋を真っ暗にしてね。TVも消してね。ソファーに座ってね。今。これを書いている。ピコピコピコピコ。携帯電話を押す音がやけに響くなー。煙草に火をつけてね。おぃらはふと空を見上げてみた。今日も星が輝いてやがるよ。なぁ。

 

おぃらはね。お前に語りかけてるんだよ。

 

おぃらはね。

 

お前に語りかけてるんだよ。

 

聴こえてるかい?





前回の続き。笹ヤンの携帯電話におぃらは電話をかけた。今は解らないけどね。笹ヤンが亡くなった後もね。暫くはね。笹ヤンの携帯電話は解約する事もなくね。笹ヤンの彼女が持っていた。おぃらはね。恐る恐る電話をした。

 

「もしもし」。

「もしもし、おぃらだけど解るかい?」

「もちろん解りますよ!!」

彼女と会話をしたのはどれくらいぶりだっただろう。あまり会った事はないんだけどね。笹ヤンからね。いつも彼女の話は聞いていた。とても芯が強い子。自分の意志を持った優しい子だ。

 

最後に彼女と話をしたのはね。笹ヤンの葬式が終わってね。1ケ月くらいたった時にね。電話で話をした時だった。おぃらはね。その時。彼女にこんな言葉を言った。

「いつまでも笹ヤンの事を忘れないでおくれ」。


電話を切った後。おぃらはね。本当に後悔をした。おぃらは彼女の気持ちなんてね。何一つ考えてあげていなかった。忘れられるわけねぇよな。忘れられるわけねぇよな。悲しかったのもね。辛かったのもね。おぃらだけじゃないのにね。おぃらなんかよりもね。彼女の方がよっぽどね。よっぽど辛い思いをしてたはずなのにね。

 

それでも彼女は「ありがとうございます」と笑って電話を切った。本当に強い子だな。本当に優しい子だな。おぃらはこの時。彼女の「ありがとうございます」に救われたんだ。




久しぶりに聴く彼女の声はね。明るかった。おぃらはね。彼女に伝えたかった。笹ヤンはね。本当に君を愛していたんだと。本当に君を想っていたんだと。伝えたかったんだ。だけどね。彼女の明るい声を聴くとね。声に出なくなった。
「やっぱりまだこの携帯電話持ってたんだね」「はい。できるかぎり繋げたままにしときますよ」。きっとね。きっとね。彼女はね。一生。一生。笹ヤンの事をね。忘れはしないと思う。過去にするわけじゃなくてね。思い出にするわけじゃなくてね。ちゃんと受け止めてね。前に進んでいるんだ。彼女の声を聴いてね。そう思うとね。何も言わない方がいいと思った。
「元気でね」。最後におぃらが言うとね。彼女はね。「ありがとうございます」と言ってくれた。




笹ヤンが亡くなる少し前。おぃらはね。どうしようもない孤独に襲われていた。寂しい。寂しい。愛が欲しい。愛が欲しい。自暴自棄になってね。笹ヤンにいつも八つ当たりをしていた。少しでも時間が空くとね。息ができなくなっちまってね。過換気症候群になった。おぃらは薬を使ってね。心を落ち着かせる事しかできなかった。
おぃらだけが...。おぃらだけが...。おぃらはね。自分だけが辛いと思っていた。自分が1番辛いと思っていたんだ。笹ヤンの痛みにもね。孤独にもね。おぃらは気付いてやれなかった。あれから毎日毎日。後悔してるよ。ずっとね。後悔してるよ。



笹ヤンが死んじまってからね。おぃらはね。おぃらが心を開いた奴はね。皆いなくなっちまう。消えちまう。それはね。きっとおぃらに原因があるんじゃねぇか。ずっと思っていた。きっとね。あると思うよ。だけどね。嘘だと思うかもしれないけどね。自分を攻めてね。後悔してね。死にそうな夜にはね。よくね。笹ヤンがね。夢に出て来てね。おぃらを叱りやがるんだ。
「馬鹿野郎」ってさ。いつも怒ってくれる。それが本当に夢なのかね。現実なのかね。解らないけどね。笹ヤンは死んじまってもね。おぃらの心配をしてくれてんだ。おぃらはね。そんな笹ヤンにね。いつも言うんだ。「お前が馬鹿野郎だ」ってね。

 

過去でもね。思い出でもないよ。笹ヤンはね。ただね。ただね。星になっちまったんだ。笹ヤンの分をね。幸せに生きてやろうだなんて思わないよ。だけどね。だけどね。おぃらはね。笹ヤンが教えてくれた事をね。できるかぎり誰かに伝えていきたい。

 

本当にね。本当に人なんてね。いつ死んじまうか解らねぇ。永遠なんてねぇのか?絶対なんてねぇのか?凄く凄く恐いよ。もう誰も失いたくねぇ。
「死にたい」と何度も。何度も嘆く夜を過ごしてきたね。おぃらみてぇなクソ野郎にかぎってね。中々死なねぇ。こうして毎日をね。おぃら達は普通に生きているのにさ。本当はいつも「死」と隣り合わせなんだ。

 

大切な人を亡くしたりね。失ったりね。おぃらはもう本当に嫌なんだ。あんたの大切な人だってさ。いつ死んじまうかなんて解らねぇよ。大切にしてあげておくれ。なんでもない瞬間をね。大切にしてあげておくれ。後悔しない様に。



なぁ。笹ヤン。一緒にいる時からさ。結婚したいだなんてほざいていたおぃらだけどさ。今も独りだ。あの頃とたいして変わってねぇ。今も恐い。恐いよ。ずっと。ずっと見守っていておくれ。ずっと。ずっとそこから。見守っていておくれ。

 


今日のお薦めBGM=神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まないっ」