独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

from 星になっちまった

満天の夜空を見上げるとね。星達がキラキラキラキラ輝いてやがる。その輝きはね。凄く。凄く。遠くにある様でね。凄く近くに感じたりもする。おぃらはね。真っ黒な空に浮かぶお星様を見る度にね。思うんだ。この真っ暗な真っ暗な闇の中にね。美しく輝いているこのお星様のどこかにね。お前はいるのかな?お前は生るのかな?





今日はおぃらの曲「星になっちまった」についてだ。この曲は亡くなっちまったおぃらの友達へ向けて作った曲だ。




何年か前のある日。仕事が終わり車に乗ったおぃら。携帯電話を開けるとね。着信が入っていた。笹ヤンからだった。おぃらはこの頃ね。本当に毎日が辛くてね。寂しくてね。闇に包まれていた。そしてね。そんなどうしようもない感情をね。よく笹ヤンにぶつけていた。
おぃらは少しウキウキして笹ヤンに電話をした。「どうした~?」。すると携帯電話の中からはね。笹ヤンの明るい声じゃなくてね。女の子の声が聞こえてきた。

「もしもし」

今にも泣き出しそうな女の子の声。涙を必死で堪えようとしている女の子の声。笹ヤンの彼女だった。

「どうしたの?笹ヤンは?」

言葉を詰まらせている彼女におぃらは聞いた。

「ヒロ君(笹ヤン)がね。自殺したよ。」

泣きながらそう囁いた彼女におぃらは何の言葉もかけてあげる事ができずにね。「また連絡するね」と言って電話を切った。




車の中はね。静かでね。寒かった。おぃらはそこから動けずに暫く呆然としていた。静かな車の中でただ呆然としていた。車のエンジンをつけるとスピーカーから音楽が流れて来た。笹ヤンが教えてくれた音楽達だ。笹ヤンと良く唄った。大好きだった音楽達。

「あれ?」

なんでか解らねぇよ。なんでか解らねぇよ。涙が溢れてきた。涙が溢れてきて止まらなかった。おぃらは声を出して泣いた。本当に死にたいと思った。本当に自分が嫌でしょうがなかった。何も信じたくなかった。おぃらは声を出して唄った。涙を拭う事もせずにただ声を出して唄った。笹ヤンの顔を思い出しながらね。ただ唄っていたよ。



「馬鹿野郎!!」。


「馬鹿野郎!!」。


「馬鹿野郎!!」。




笹ヤンはね。ある薬の飲みすぎでね。窒息死のような状態だったみたいだ。

 

あれから何年たっただろう。本当に。本当にあっという間だった。だけどね。だけどね。あの日からね。1日だってね。笹ヤンの事を思い出さない日は無かったよ。毎日毎日。必ず夜は来るからさ。おぃらが寂しくなる夜にね。空を見上げるとね。そこにはね。必ず笹ヤンがいるんだ。キラキラキラキラ。真っ黒な闇の中でね。輝いてやがる。おぃらを見守ってくれてるんだ。何年経ったってね。おぃらがホームレスになったってね。何も変わらねぇよ。過去にもならない。思い出にもならない。笹ヤンはね。ただね。ただ星になっちまったんだ。




通夜や葬式の時はね。正直。笹ヤンが死んじまっただなんてね。信じる事ができなかった。頭では解ってはいたんだけどね。信じたくなかった。弱いおぃらはね。逃げたんだ。現実から目を反らしてね。逃げたんだ。

 

よくね。命がどうのこうのだとか言っているおぃらもね。その時まではね。まさかね。笹ヤンがね。身近な友達がね。死んじまうなんてね。本気で考えた事は無かった。今まで沢山の命がおぃらの側から消えちまったけどね。今でもまだ「死」と言う事にはね。リアリティーは感じられない。


普段おぃらの側にいてくれる大切な奴等。あたり前の様にね。おぃらの側にいてくれる大切な奴等。愛する人心友。家族。誰といてもね。おぃらはそれがあたり前なんだと勘違いしてしまう時がある。誰がいつ死んじまうかなんて解らねぇのにね。まるで側にいるのがね。あたり前なんだと勘違いしてしまう時がある。

大切な奴を亡くしてもね。おぃらはまた大切な奴が突然死んじまう事なんてね。リアルには考えられねぇ。本当に駄目な奴だと思うよ。本当はね。あたり前だと思える一瞬をね。大切にしないといけないのにね。おぃらは後悔してばかりだ。

 


心友の光(あだ名)が白血病になった時もね。おぃらはね。後悔をした。自分を殺してやりたいと思った。だけどね。だけど同じ事は繰り返したくなかった。できる事はやってやろう。ほんの些細な事でもね。力になれる事はね。やってやろう。そう思ってね。動いた。
光の鶴や色紙を作っている時。よくね。「優しい」だとかね人に言われたけどね。ヘドが出そうだった。おぃらもね。誰にでもそんな事するわけじゃね-。光だから。そしてね。笹ヤンをね。友達をね。何もしてやれね-ままね。亡くしていたから。その経験があったからね。後悔したくはなかったんだ。おぃらはね。ただ優しいわけじゃない。結局は自分の為だ。



笹ヤンはね。本当にいい奴だった。いつも明るくてよ。人の事ばかり考えてよ。馬鹿ばかり言っていた。だけどね。そんな彼の中にはね。沢山の闇が潜んでいたんだ。優しさの裏に隠されたね。沢山の傷があったんだ。人の優しさなんてね。苦しみから得るものだ。おぃらはそれを知っていた。それを知っていたはずなのにね。おぃらは何も。何もしてやれなかった。何も気付いてやれなかった。おぃらはね。いつも。いつも自分の事ばかりだった。寂しい。辛い。死にたい。そんな感情をね。ぶつけるだけでね。何も聞いてやれなかった。笹ヤンはきっと。きっと言えなかったんだ。優しいから。言えなかったんだ。

 

おぃらは今も思っている。もしもね。もしもね。笹ヤンの中の闇がね。笹ヤンを殺したのならね。おぃらも笹ヤンを殺した闇の1つなんだ。光にも闇は必要でね。闇にも光は必要なんだ。だけどね。闇と闇はね。闇しか生まない。光合成できないとね。何も咲かないんだ。

 

笹ヤンが亡くなってから暫くしたある日。おぃらはね。どうしてもね。どうしてもね。笹ヤンの彼女にね。伝えたい感情が溢れてきてね。おぃらは彼女に電話をした。繋がったままの笹ヤンの携帯電話に。

 

今日のお薦めBGM=Wet Wet Wet「Love is All Around」