独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

精春物語(前編)

「青春時代」だなんてね。いったいいつの事を言うのかよく解らねぇ。グラウンドで汚ぇ汗流して走り回っていたあの頃か。隣のクラスの大好きなあの娘に「好き」って言うたった2文字が言えずに苦しんでいたあの頃か。意味も理由もなくね。真夜中にたむろって笑いあっていたあの頃か。大人になるのを嫌がってね。「あたり前」だとか「常識」だとかね。社会に反発していたあの頃か。「何かやらかしてみたい」とね。必死で生き甲斐を探していたあの頃か。

 


大人になるにつれてね。いろんな現実を突き付けられる。青春だ-。青春だ-。なんてね。言ってられなくなったりもする。だけどね。だけどね。「生涯青春」だ-なんて叫んでいたあの頃。お前と叫んでいたあの頃。おぃらはね。忘れない。これからもね。叫んでやるよ。





18歳。あの頃のおぃらはね。まるで世の中の不幸をね。全て背負い込んだようなそんな毎日だった。4年間付き合った彼女にね。フラれたおぃらはね。寝る事も食べる事も笑う事も息をする事も信じる事も愛する事も唄う事もできなかった。もう何もできなかった。おぃらの世界なんてちっぽけでさ。彼女の一言で破裂しちまってね。全てぶっ壊れちまった。おぃらにとってね。始めて心を開いた人だった。家族みてぇなモンだった。

街にはどこにいても彼女との思い出があった。おぃらと彼女の事を知ってる奴ばかりだった。凄く息苦しくて辛かった。誰も信じる事さえできなかった。おぃらはね。思い出もね。彼女と見ていた未来もね。全てを捨てたかった。全てから逃げたかった。彼女の面影が無い場所に。おぃらは独りぽっちで旅立った。




知らない奴ばかり。知らない景色。その街はね。おぃらの孤独を少し和らげてくれた。寂しい。寂しいよ。だけどね。独りであたり前だから。誰もおぃらを知らないもん。独りで当然だから。中途半端な優しさや言葉なんてね。あの頃は嫌で嫌でしょうがなかったしね。彼女との思い出が溢れる街でね。隣に彼女がいない事がね。たまらなく辛かったんだ。本当に寂しいって言う事はね。きっと。きっとね。1人だからじゃない。独りだからなんだ。おぃらはこの時。始めて気付いた。彼女の話はまた今度。




街に来て1週間くれぇしたある日。当時お世話になっていた川喜田さん(32)にね。一緒に仕事をする事になったという同じ年のある坊主頭の金髪野郎を紹介された。笹ヤン(あだ名)だ。
「笹島っス!!」笹ヤンは馬鹿みて-に明るくてね。やんちゃな野郎だった。

 

その日の夜。おぃらは笹ヤンに誘われてね。ファミレスに一緒にご飯を食べに行った。失恋してからね。長い間他人とご飯なんてまともに食べてなかったおぃらはね。少し嫌嫌だったけどね。笹ヤンの馬鹿みて-に無邪気な笑顔に安心した。

 

笹ヤンはね。誰がど-みても悪ガキの用な見た目してやがるのにね。優しく笑う男だった。「俺こっち来たばっかで友達いねぇし心細くてさ。友達なれそうな奴と一緒仕事できて良かったよ」。笹ヤンは笑顔で言った。その言葉が本当に嬉しかった。おぃらも。おぃらもそう思ったから。

 

その夜。女の事。夢の事。クダらねぇ話をね。飲みなれね-酒にね。吸いなれてね-煙草をふかしながらね。語り合った。
帰り際に笹ヤンに「これ聴いてみてよ」と1枚のCDアルバムを借りた。家に帰ってね。独りぽっちの部屋でね。ヘッドホンをつけてね。なんとなく。なんとなくそのアルバムを聴いてみた。当時。おぃらが聴く歌と言えばね。もっぱらJ-POP。普通の歌だった。ロックだとかね。パンクだとかね。興味もなかったしね。歌った事もなかった。だけどね。だけどね。その音楽はね。おぃらの何かをぶっ壊した。おぃらの中で何かがぶっ壊れた。涙が止まらなかった。


「ウヒョー!!」
「ウヒョー!!」


パンクロックに出会った。


なぁ。笹ヤン。お前は今笑ってるかい?

 

今日のお薦めBGM=おとぎ話「ネオンBOYZ」