独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

「寂しがり屋な旅人物語」

「寂しがり屋な旅人物語」

昔、昔。ある寂しがり屋な旅人がいました。
旅人はいつも自分の居場所を求めて旅をしていました。旅人は旅の中で沢山の人に出会いましたが誰1人として心を開く事ができず「寂しいよ」と呟きながら旅を続けていました。





ある冬の日、旅人はある街へと辿り着きました。
旅人はその街である1人の少女と知り合ったのです。



少女は辛そうな顔をしていた旅人に言いました。
「何か凄く辛そうな顔をしていますが大丈夫ですか?私で良ければ話を聞きますよ」。




旅人は長い旅を続けていて始めて優しい言葉をかけてもらったのです。



「ありがとう」。
「ありがとう」。
「ありがとう」。



必死で必死で堪えようとするのですが旅人の目からは涙が込み上げてきて止まりません。旅人は本当に嬉しかったのです。



それからというモノ旅人と少女は夜の9時から公園の白いベンチで必ず話をするようになりました。

過去の事。今日起こった事。未来の事。旅人は自分の全てを少女に知ってもらいたいと思いました。そして。少女の全てを知りたいと思いました。

旅人も少女もこんな気持ちは始めてだったのです。
「僕にも居場所が見つかった」
「僕は君を愛している」

旅人は幸せでした。


春が来て夏が来て秋が来て冬が来て。また春が来て夏が来て秋が来て。


沢山の季節を旅人と少女は一緒に過ごしました。公園のベンチでは手を繋いで頬を触れ合って話すようになっていました。



「愛してる」。
「愛してる」。
「僕をもぅ1人にしないで」。



旅人は街の人々ともすっかり仲良くなり自然と笑うようになっていました。あんなにもどうしようもなかった孤独を少女の愛がまるで魔法のように無くしてくれたのです。



「いつまでもいつまでもこのまま一緒にいたい」。
「君だけが君だけがいてくれたらいいんだ」。



旅人は彼女と結婚する事を決めました。

また冬が来たある日の日暮れ時。

旅人と少女はささいな事で喧嘩をしてしまいました。旅人は婚約指輪を渡そうと思っていた時に少女に他の男の話をされ嫉妬を焼いてしまったのです。少女を置いて家を飛び出した旅人は公園の白いベンチに行きました。旅人は後悔しました。



本当は一緒にいてくれるだけでいいのに。本当はただ愛してるのに。いつの間にか少女にいろんな事を求めてしまい傷付けてしまった事に旅人は本当に後悔しました。


今日の夜ちゃんと誤ろう。プロポーズをしよう。旅人はそう誓い夜の9時までベンチで待つ事にしました。



しかし。夜の9時になっても少女は公園の白いベンチには来ませんでした。それでも旅人はずっと待っていました。気がつくと真っ白な雪が降って来ました。それでも旅人はずっと待っていました。



暫らくすると街のある女の子が公園にやって来ました。少女の友達です。女の子は息を切らして真っ青な顔をしていました。
旅人は嫌な予感が頭をよぎり女の子に言いました。

「どうしたんだい?」

「あの子が事故で...」

少女は飛び出した旅人を追いかけて公園に来る途中に事故にあい息を引きとってしまったのです。



旅人には信じる事ができませんでした。昨日もこの公園の白いベンチで2人で話をし隣にはいつも少女がいました。あたり前のように一緒にいた少女。あたり前のような日々が。幸せな日々が一瞬で消えてしまったのです。




「うわぁ-」
「うわぁ-」




旅人は泣きました。声を出して泣きました。頭がおかしくなりそうで立っている事もできません。



なんでもっと優しくしてあげられなかったのか。なんであの時怒ってしまったのか。なんで指輪を渡す事ができなかったのか。




「うわぁ-」
「うわぁ-」




女の子が「大丈夫?あの子が眠っている病院に行く?」と旅人に聞きました。




旅人は「いかないよ。僕の居場所はここだけだから。僕はここで待ってるよ。」と言いました。


雪の降り積もる中、旅人はいつまでもいつまでも公園の白いベンチに座っていました。いつまでもいつまでも少女を待っていました。いつまでも。いつまでも。


「ありがとう」。
「ありがとう」。


昔、昔。ある寂しがり屋な旅人がいました。
旅人はいつも自分の居場所を求めて旅をしていました。しかし。旅人は旅を(生きる事を)辞める事にしました。旅人には居場所がみつかったからです。旅人はたった1人の人をみつけたからです。旅人は独りではなくなったのです。




翌朝。街の人々が公園に行くと旅人は雪の中で公園の白いベンチに座ったまま命を落としました。その両手には少女にあげるはずだった指輪の箱がしっかりと握られていました。
街の人が「可愛そうに」と指輪の箱を開けてみると中はからっぽでした。




終わり。





今。大好きな人と一緒にいる奴。別に好きでもねぇ奴と一緒にいる奴。1人ぽっちでいる奴。いろんな奴がいると思う。
少し。少しでいい。目をそっと閉じてみておくれ。そっと閉じてみておくれ。その時あんたは。あんたは誰を思い浮かべる?誰を思い浮かべる事ができる?
愛してる愛でもね。愛されてる愛でもね。両想いの愛でもね。失っちまった愛でもね。どんな愛でもいいと思う。愛の大切さに気が付いてほしい。失ってからじゃね。後悔してからじゃ遅いもん。
パソコンの画面の前のあんたに。携帯電話のディスプレイの前のあんた。大切な事を。大切な事を。見失なわないでおくれ。気付いてあげておくれ。おぃらは。おぃらはただ。愛していたい。心の底から。愛していたい。

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