I Want Become Strong

夜景なんかを見てるとね｡僕がどれだけ小っぽけな存在かが解る｡世界は広ぇなｰ｡大きいなｰってよ｡おぃらの悩みなんてね｡どれだけ小さな事か考えさせられちまう｡
小さな街だと思っていた街もね｡上から見ると本当に広いんだ｡｢世間は狭い｣だなんてよく言うけどね｡そんな事もねぇな｡星の数程いる人間と言う生き物の中の1人でしない僕｡そんなちっぽけな存在でしかない僕｡こんなちっぽけで弱い僕の吐き出す言葉を読んでいるちっぽけなあんた｡どうか小っぽけなままでいてください｡どうかそのままのあんたでいてください｡それは凄く大切な事だと僕は思うんだ｡あんたがあんたのままでいれる強さ｡それは凄く大切な事だと僕は思うんだ｡

｢強くなりてぇな...｣

そう思って毎日を生きている僕｡強さってのはね｡別にね｡ﾎﾞｸｼﾝｸﾞの世界ﾁｬﾝﾋﾟｵﾝになりたいわけじゃない｡鈴蘭高校に入って滝谷源治(小栗旬)と喧嘩しててっぺん取りたいわけでもない｡おぃらが欲しい強さはね｡独りでも生きていける強さ｡それはね｡きっと肉体的な事じゃない｡精神的な事だね｡

何年か前にある占い師にこう言われた事がある｡｢もしあなたが本当に結婚して幸せになりたいならもっと強くならないとね｡あなたが強くならないと結婚しても何も変わりませんよ｣｡

ｲﾝﾁｷ野郎の言葉が僕の中に残っちまった｡強くならねぇと｡強くならねぇと｡壁にﾌﾞﾁ当たる度に嫌になっちまう僕の弱さ｡大切な奴を失う事を恐れてばかりいる僕の弱さ｡

強くならねぇと｡強くならねぇと｡そう言い聞かせてきた自分自身の心｡気が付くと僕は感情を無くしちゃった気がするよ｡優しさを無くしちゃった気がするよ｡だってね｡どんな時も何も感じない｡そんな心でいれたらね｡そんなﾛﾎﾞｯﾄの様な心でいれたらね｡傷付く事もないよ｡傷付けられる前に傷付ければそんなに傷付く事もないよ｡強いじゃねぇか｡

僕が弱い所を見せれるのは大切な人の前だけ｡だけどね｡僕が弱さを見せるとね｡大切な人が傷付く｡そう感じる度に感情を出せなくなっちゃったみたいだよ｡怒る事もね｡泣く事もね｡言葉もでねぇ｡強くなりてぇな｡そう思えば思う程､僕は感情を無くしちゃったのかな｡

だけどね｡僕はきっとね｡本当は弱くなんてないんだ｡だってね｡僕は独りぽっちで生きてきたもん｡自分の力で生きてきたもん｡大切な人を失った今も｡こうしてなんとか生きている｡なんとか生きているもん｡

強くなりてぇな-｡

そう囁いた僕に彼女は｢強くならなくてもいいんだよ｣と言った｡僕は彼女に｢それは僕に死ねって言っているのと同じだよ｣と言った｡その1週間後｡彼女は僕の前から消えた｡

強くなりてぇな-｡

おぼろ月を見ながら真っ暗な空の下で煙草片手にそんな事を思ってたらね｡なんだかね｡歌を唄いたくなっちゃったよ｡

生きてるってなんだろ♪
生きてるってな-に？
生きてるってなんだろ♪ 生きてるってなーに？

本当にね｡ちっぽけなおぃらの心の中なんてね｡波の様に押したり引いたりよ｡前向きになったり後ろ向きになったりよ｡誰かの些細な一言や行動でもね｡揺れ動いちまう｡
感情を押し殺してよ｡何も感じねぇ人造人間にでもなれたらきっと強いんだと思うよ｡でもね｡感情を無くせば僕が僕じゃなくなっちまう｡難しいな｡

でもね｡あんたもきっとそうでしょ？あんたも幸せでいっぱいいっぱいじゃないんでしょ？心の中にさ｡心のどっかに何かあるんでしょ？傷があるんでしょ？幸せでいっぱいいっぱいの奴におぃらの言葉の意味はきっと解らない｡
僕はね｡そんなあんたが好きだよ｡そんなあんた達が好きだよ｡幸せでいっぱいいっぱいでね｡毎日楽しくて楽しくてしょうがねｰなｰｵﾓﾛｰ!!なんて奴おぃらは嫌いだもん｡本当にね｡ちっぽけな存在でしかねぇ僕とあんた｡山の上から見える小さな光よりもちっぽけな僕とあんた｡僕と君がいれば恐くないなんてそんな格好いい事は言えないけどね｡そんな瞬間があったらいいな｡そんな瞬間を感じれたらいいな｡そしたらね｡きっともぅ少し強くなれそうな気がするんだ。

今日のお薦めBGM=音速ﾗｲﾝ｢逢いたい｣