独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

忘れられない夜(後編)

「永遠」だとか「生涯」だとか。そんな言葉をおぃらは今までどれだけ口に出してきたかな?だけどね。今まで「永遠」を実感できたモノなんて何1つない。
「ずっと一緒にいよう」って言う約束はするべきものじゃないのかな?





おぃらはきっと独占欲が強い。時々ね。好きになった人の家族も友達も邪魔だと思う事がよくある。おぃらだけを見て欲しい。おぃらの側だけにいて欲しい。おぃらとだけ生きて欲しい。どれだけ想いを重ねてもね。体を重ねてもね。1つになんてなれないのは解っている。解っているけどね。時々。無性にそれが寂しくなる。

だけどね。実際のおぃらはそんなに何も言えない。嫌われるのが恐いのもある。だけどそれ以上に大切な人を縛り付けたくないと言う気持ちもある。そりゃあ男友達とただ遊ぶのもおぃらは嫌だ。だけど哀しい思いや寂しい思いをさせるのも嫌だ。おぃらのエゴで縛りつけるのが恐い。嫌われるのが恐い。優しさなのか諦めなのかは解らない。おぃらはあまり何も言えなくなった。何も言わないのに信じる事もできないからおぃらはすぐ逃げる。心を殺して逃げる。裏切れられるのはもぅ御免だ。永遠。生涯。絶対。ずっと...。そんな言葉聞きたくもない。





例えばおぃらがあんたをどうしても信じる事ができなくてね。「なんで信じてくれないの?」っておぃらを責められても困るんだ。信じたくても信じられないおぃらの気持ちが解るかい?






あの日。おぃらの仕事場に遊びに来た年下の学生の彼女。ずっと喧嘩してて久しぶりに会ったんだ。おぃらは仕事中であんまり話もできなかったんだけどね。少しでも一緒にいたかったから「仕事が終わったら家に行くよ」って約束したんだ。彼女は「夜から友達と一緒に工場にバイトに行くから今日は会えないよ」って言った。



その時には信じてたけどね。でもね。何か少し引っ掛かっていた。彼女はその頃。携帯電話を持っていなくておぃらは一緒にバイトに行く彼女の親友の携帯に電話をして連絡を取っていた。


その日も夕方までは彼女の親友と連絡が取れていた。だけどね。夜になると突然。まったく音信不通になってしまった。少しずつ。少しずつ不安が募ってきた。



彼女のお母さんにもお兄ちゃんにも連絡して聞いたんだけどね。2人共バイトに行ってるって言うだけだった。


彼女の親友が風俗で働いているのを知っていたから不安でたまらなかった。いてもたってもいられねぇでおぃらは仕事が終わってから彼女の家の前に車を停めて待っていた。だけどね。何時になっても連絡は取れなかった。もしね。工場で夜通しバイトって言うなら休憩時間くらいあってね。連絡取れるのはおぃらにだって解る。でも結局、朝まで彼女から連絡はなかった。朝になるまでの長い時間。静かな長い時間。手の震えが止まらなかった。また裏切られる。また失う。また信じられなくなる。だんだんと光が射してくる空を見ながらおぃらの心は絶望感だけが支配していた。



次の日の夕方。彼女の親友とようやく連絡が取れて問い詰めたらやっぱり彼女は風俗で働いていた。上手く言葉では言えないけどね。本当にショックだった。風俗で働いていたから。嘘をつかれていたから。何よりもね。きっともぅ彼女に心は開けない。そう解っていたから哀しかった。



結局あれだよ。彼女も彼女の親友もね。おぃらからの電話を気付いていても無視してた。おぃらからの電話に気付いていて他の男を相手にお金を稼いでいた。おぃらからの電話を見ながら友達と笑っていた。彼女も。彼女の親友も。彼女の家族も。皆おぃらに嘘を付いていたんだね。





おぃらは2度と。彼女の友達や家族の事も信じる事ができないと思う。友達と遊びに行くなんて言われても信じられねぇ。信じたくねぇ。彼女が風俗なんかで働く事がおぃらがどれだけ嫌でもね。彼女の友達や家族からしたら何も嫌な事じゃない。彼女の家族なんかと普段どんなに仲良くしていてもね。しょせん他人なんだ。逆におぃらだってね。友達に彼女がいたってね。平気で風俗にも行くしね。女の子と遊んだりもする。友達の彼女の気持ちなんて考えないもん。



彼女や彼女の友達や家族にとっては何でもない1日。何でもない日だったんだと思う。きっともぅ忘れてるよ。なのにね。おぃらはずっと引きずって行くのかもしれない。おぃらは今やっぱり信じる事ができない。それは凄く哀しい事。顔で笑って心で泣いている。それを誰も気が付いてくれないのがまた凄く哀しい。ポーカーフェイスばかり上手くなって人との繋がりは不器用になっていくばかりだ。





「二度と誰も愛さない」

「二度と誰も信じない」

そんな事を心の底から強く誓った夜を何度も超えてきた。だけど心はまた誰かを求めてしまう。愛されたい。愛したい。そして。僕はまた心に強く誓う。

「二度と誰も愛さない」

「二度と誰も信じない」



あの忘れられない夜の傷がおぃらをまた弱くする。

今日のお薦めBGM=原田知世「彼と彼女のソネット