独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

忘れられない夜(前編)

「二度と誰も愛さない」

「二度と誰も信じない」

そんな事を心の底から強く誓った夜を何度も超えてきた。だけど心はまた誰かを求めてしまう。愛されたい。愛したい。そして。僕はまた心に強く誓う。

「二度と誰も愛さない」

「二度と誰も信じない」







例えばおぃらがあんたをどうしても信じる事ができなくてね。「なんで信じてくれないの?」っておぃらを責められても困るんだ。信じたくても信じられないおぃらの気持ちが解るかい?





彼女と出会ったのは仕事の打ち上げのカラオケだった。酒の力を借りて調子に乗っていたおぃら。片っ端の部屋から乱入しては勝手に曲を入れて叫びまくっていた。おぃらもまだピチピチの10代で怖いモノなんて無かったのかもしれない。その中の一部屋に彼女はいた。女友達3人と来ていた彼女はおぃらの唄を聴いて笑っていた。その瞬間の事は今も覚えている。
そんな変なきっかけで出会った彼女はおぃらよりも3つ年上の美容師だった。社会人として1人でちゃんと生活もしていてまともな仕事もまともな生活もしていなかったおぃらにはとても大人に見えた。ずっと人を愛せなかったおぃらがやっと好きになれた人。

彼女と付き合う前までの間、いろんな事を話した。お互いの過去の事、未来の夢。おぃらは解ってほしくて知ってほしくて沢山の事を話した。彼女の事を全て知りたくて沢山の話を聞いた。彼女ならおぃらの事を解ってくれると思った。そして、おぃらと彼女は付き合う事になった。

付き合った次の日の夜。彼女に電話をした。

「何してるの?」。

彼女は笑いながら言った。

「今、男友達と2人で遊んでるよ」。

おぃらは哀しくてしょうがなかった。嫉妬を焼くよりも本当に哀しかった。ただ遊んでるだけ。確かにね。浮気じゃないのかもしれない。だけどね。それでも哀しかった。哀しくてしょうがなかった。付き合うまでの間に話してきたのはいったい何だったんだい?純粋だったおぃらの気持ちは付き合った次の日に壊れた。



この時、改めて解り合うと言う事の難しさや人間の価値観の違いを思い知った。彼女には付き合った次の日に男友達と2人で遊ぶ事は普通の事だったんだ。笑って話せる事だった。もちろん彼女は浮気なんて絶対にする様な子ではなかった。それは解っていた。例えば彼氏や彼女がいるのに異性と2人で遊ぶ事がごく普通な人。許せる人も沢山いると思うよ。ただ、おぃらの中では駄目だった。そんな子は安心できない。信じる気になれない。どんないい子でも同じ。それだけの事。例えばおぃらの事を何も話していなかったりね。心を開いていない子ならいいんだ。どうでもいいもん。だけどね。心を開いた人は駄目なんだ。

彼女は男友達と連絡を取る事を「お店のお客さんでもあるから」と辞めようともしなかった。浮気をするような人じゃないのは十分解ってたけどね。不安で仕方なかった。
おぃらと2人でいる時にも彼女はお客さんだと言う男と会うと楽しそうに話をしていた。そして嫉妬を妬いてその男に怒ったおぃらに「オカシイんじゃない?」と言った。


その時おぃらは「あーやっぱりおぃらがオカシイんだ」って思った。嫉妬を妬くおぃらがオカシイ。不安になるおぃらがオカシイ。

そしておぃらは少しずつ心を離して行き彼女の前でおぃらではいられなくなった。彼女の前から消えた。彼女はそんなおぃらを「最低」だと言った。彼女は今もきっとおぃらの事を恨んでいると思う。



彼女の事は凄く尊敬している。仕事に対しては本当に真面目で努力をしていた。いろんな事を学んだ。だけどそれは社会で生きて行く為の事。仕事だから。友達だから。浮気はしていないから。彼女の言う事は正論で間違ってはいないのかもしれない。だけどね。そんな学校の授業で習う様な理由なんておぃらには本当にクダらく思えた。
結局。結末はおぃらが彼女を裏切った。だけどね。おぃらだってそうしたかったわけじゃない。そんな事。望んではいなかった。不安でたまらない。安心できない。心を開けない。1度引き離した心を元に戻すのはとても難しい。彼女と一緒にいながら他の人を探しているおぃらは最低だ。だけどね。本当はそんな事。望んではいなかった。
付き合う前にどれだけお互いの事を解ったようなフリをされてもね。信じようと思えない。素直に嫉妬を妬く事もできない。あの忘れられない夜の傷がおぃらをまた弱くする。

今日のお薦めBGM=mushroom「ラジオから・・・」