桜並木の咲く公園で僕は歌を奏でる様に鳴いた
時々｡どうしようもなくやるせない気持ちになった時｡そんな時｡おぃらは歌を唄います｡ﾄﾞﾚﾐﾌｧｿﾗｼﾄﾞ｡口を大きく開けて歌を唄います｡ﾄﾞﾚﾐﾌｧｿﾗｼﾄﾞ｡おぃらの中に流れるﾒﾛﾃﾞｨｰよ｡おぃらの中に溢れるﾒﾛﾃﾞｨｰよ｡どうか届いて下さい｡どうかあなたに届いて下さい｡どうかあんた達に届いて下さい｡
聴こえますか？
皆さんこんにちわ｡寂しがり屋日本代表のKUSOGAKINGっす!!本当にね｡あんたの一言がね｡おぃらに沢山のね｡生きる力をくれるよ｡本当にありがとう｡
平日の昼間はなんだか時間がゆっくり流れている｡おぃらは仕事で小さな町に来ている。平和な町｡おじいちゃんやおばあちゃんが多いいなｰ｡始めて来たこの街でおぃらは大きな公園を見つけた｡真ん中に大きな池があってね｡周りには色鮮やかなﾋﾟﾝｸ色した桜が咲き乱れている｡子供連れのお母さん達が沢山いて公園には子供達のはしゃぎ声が響いていた｡おぃらはねなんとなくね｡なんとなく公園にあったﾍﾞﾝﾁに座って煙草に火をつけた｡目の前に広がる景色は本当に汚れがなくて美しく感じた｡ﾋﾟﾝｸ色した桜もﾋﾟﾝｸ色した小さな子供達の頬もおぃらには眩しく感じた｡
何も信じれない｡恐い｡恐いよ｡そんな事をよく思わせられるこの世界にもね｡こんなにも素敵な空間がある｡こんなにも素敵な景色がある｡静かな街並の中では鳥の鳴き声さえも響きわたる｡鳥達にのせられておぃらもなんだか唄いたくなった｡公園のﾍﾞﾝﾁでおぃらは誰にも聴こえない様な声で唄っていたよ｡ﾄﾞﾚﾐﾌｧｿﾗｼﾄﾞ｡誰にも聴こえない様な小さな声で唄ったよ｡ﾄﾞﾚﾐﾌｧｿﾗｼﾄﾞ｡毎日毎日｡誰が死んだ｡誰が殺された｡ﾁﾍﾞｯﾄでは暴動が｡国会ではｸﾀﾞらねぇ議論が｡今この瞬間も誰かが｢死にたい｣と嘆いている｡だけどね｡だけどここにはね｡間違いなく平和がある｡平穏がある｡公園に吹く春の風は暖かくておぃらはなんだか泣きそうになった｡
ここまでの文章をおぃらが携帯電話に打ち込んだのは公園に行った日の夜だ｡夜が明けておぃらは朝のﾆｭｰｽを何気なく見ていた時｡衝撃を受けた｡本当にね｡言葉では表現できない気持ちになった｡その日､更新しようと思っていたこの文章もね｡なんだか手につかなくなった｡
昨日の午後3時過ぎ｡おぃらがね｡あの公園に行ってからほんの何時間後の事だよ｡公園の真ん中にあった池に6歳と4歳の兄弟が転落して6歳のお兄ちゃんは近くにいた男性に助けられたけどね。4歳の弟はﾚｽｷｭｰ隊が引き揚げた時にはもう心配停止状態で搬送先の病院で亡くなったらしい｡
言葉がでない｡なんだかね｡上手い言葉が見つからないんだ｡なんて言ったらいいのか｡なんて伝えたらいいのか｡本当に解らない｡おぃらはあの公園で確かな平和を見た｡そこにはね｡本当に暖かい光景しかなかったんだ｡だけどね｡あれから何時間でその全ては真っ黒に染まったんだ｡そこに平穏は無くなったんだ｡
もしかしたらね｡おぃらが公園で見た子供達の中に亡くなった男の子はいたのかもしれないよ｡本当にね｡無邪気に走っていた子供達の中にね｡男の子はいたのかもしれない｡そう思うとね｡悔しくてしょうがねぇ｡悔しくてしょうがねぇよ｡
春休み最後の日に男の子は亡くなった｡桜が咲き乱れる春の始まりに男の子は眠りについてしまった｡両親はどんな気持ちだろう｡どれ程の苦しみや痛みをこれから抱えて生きて行くのかな｡想像してみたらね｡本当にね｡苦しくなった｡いたたまれない気持ち｡逃げ出したい気持ちになった｡
こうしておぃらはまた命の儚さを見せつけられた｡始めて行った街でね｡たまたま通りかかった公園でね｡おぃらは輝いた世界と真っ暗な現実を見せつけられた｡神様は意地悪だな｡どうしておぃらにこんなﾓﾉ見せつけやがるんだ｡本当にね｡いつ死ぬかなんて解らねぇ｡おぃらがね｡国民年金を毎月払ってるのもね｡体の事を考えて煙草をﾒﾝｿｰﾙにしたのもね｡もしかしたらね｡無駄な事かもしれないよ｡だけどね｡それでもね｡一生懸命､生きる事しかできない｡｢お前､馬鹿だなｰ｣｢お前､間違ってるよ｣｢お前､格好悪いな｣｢お前､いらないよ｣｡そんな事を誰かに言われてもね｡生きる事しかできない｡ただ生きる事しかできない｡いつか消えて亡くなっちまうその日まで生きる事しかできない｡
あの公園にあった確かな平和｡確かな平穏｡おぃらもいつか手に入れたいな｡小さな手をけっして離さない様に｡小さな体をけっして傷付けない様に｡
罪も無き小さな命のご冥福を心からお祈り致します｡
おぃらの中に響くﾒﾛﾃﾞｨｰよ｡
おぃらの中に流れるﾒﾛﾃﾞｨｰよ｡
おぃらの中に溢れるﾒﾛﾃﾞｨｰよ｡
どうか届いて下さい｡
どうかあなたに届いて下さい｡
どうかあんた達に届いて下さい｡
聴こえますか？
今日のお薦めBGM=INFINITY 16｢真夏のｵﾘｵﾝ｣
