独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

愛しい

僕は解らない。
本当の僕が解らない。優しい僕。冷たい僕。真面目な僕。駄目な僕。強い僕。弱い僕。いったいどれが本当の僕だい?僕は解らない。






おぃらの幼稚園の卒業アルバムの表紙は園児1人1人が書くモノだ。
おぃらのアルバムの表紙は黒や黄土色や焦げ茶色なんか暗い色で埋め尽くされてやがる。その中に何体かの怪物みてぇな絵が描かれている。真ん中の小さな人間がおぃら。そしてよ。左側の黒く塗り潰されてやがる大きな怪物がおぃらの心の中。



おぃらはこの頃から戦っていた。自分の中にある歪んだ心と。いつも笑って誤魔化していた。おぃらのおかしな頭の中を。

色って言うのはね。その時の人の心の中が表されるらしいんだ。おぃらの心の中はグチャグチャだ。無邪気な幼稚園の頃なんてよ。もっと可愛らしい絵を書いてもいいと思うんだけどね。卒業アルバムだしね。





昔、この絵の話をおぃらが通っていた病院の精神科の担当の先生に話した事がある。
先生は言っていた。「確かに絵は人の心の中が滲みでるしこの頃から君の心の中には何かがあるんだろうね」。「だけどね。君の絵は素直だ。助けを求めてる。」


昔、先生が担当していた患者さんに自閉症の男の子がいたらしい。男の子は自閉症とは思えねぇくらい先生達に対して素直で明るくていい子だったんだとよ。だけどね。男の子の書く絵は驚く程綺麗で汚れがまったく無いんだとよ。


男の子は暫くして自殺しちまったらしいんだ。


例えばね。綺麗すぎる湖には魚があまり住んでいないらしいんよ。あまりに透き通っていて綺麗すぎる湖は魚も嫌うんだ。
男の子の絵は綺麗すぎてそこには心がまったくないのが先生は解ったんだと。男の子は助けも求めねぇ。もう自分の中で終わっちゃってたんだな。全部がよ。男の子から見たら人間なんてどいつもこいつもただの肉の塊なんよ。



おぃらは男の子に比べたらまだ救いようがあるって先生に言われた。

 

 

 

本当にそうなのかな?







おぃらはこの1週間、沢山考えた。いろんな事を考えたよ。壊れちゃってもよ。眠れなくてもよ。唄えなくてもよ。沢山考えたよ。




なんだかね。自分が許せなかった。いつの間にかよ。大嫌いな自分がもっと大嫌いになっていた。自分でもどうしたらいいのか解らねぇ。だからよ。おぃらの嫌いな「孤独」をおぃら自身に味あわせてみた。沢山味あわせてみた。誰もいねぇ真っ暗な部屋の中で息ができなくても誰にも助けを求めれねぇ。そんな頃のおぃらをもぅ1度思い出したかった。本当のおぃらを思い出したかった。





本当はね。全部解っていたんだ。何が正しくて何が間違いかなんてよ。だけどよ。いろんな事を自分の中で正当化してきた。理由を付けてよ。いいわけを探してよ。平気で誰かを傷付けたりよ。平気で誰かを裏切ったりよ。そんな事が簡単にできちまう自分。



おぃらはおぃら自身が受けてきた忘れられねぇような傷痕を同じように誰かにつける。その傷の痛みがどれだけのモノか知ってるはずなのに。
誰も信じられねぇ。誰にも心を開けねぇ。誰も愛せねぇ。恐い。恐いよ。もぅ誰も失いたくねぇ。もぅ傷付けたくねぇ。もぅ独りにはなりたくねぇ。おぃらはいつも怯えている。愛が欲しい。愛が欲しい。愛が欲しい。だけどね。愛せねぇ。独りは嫌だ。独りは嫌だ。独りは嫌だ。だけどね。誰にも心を開けねぇ。





大っ嫌いな自分自身。だけどね。本当は大好きなんだ。大好きなんかじゃねぇけど大好きなんだ。だってよ。結局おぃらはいつも自分の事ばかりだもん。失いたくねぇ。傷付きたくねぇ。独りになりたくねぇ。結局自分が可愛いいのかな?そんな自分自身が本当に嫌だよ。





1960年代。ヨーロッパにある天才詐欺師と言われる青年がいた。彼はあらゆる自分を作り上げ演じていた。ある時はパイロット。ある時は医者。ある時は司法書士。世界を愕然とさせた偽札作りや大胆な詐欺。彼は頭も良く見た目も優れていた。
嘘の自分を演じ続け地位や大金や恋人も手に入れた彼だがいつも孤独だった。どこにいても嘘の自分でいる彼には本当の自分でいれる場所が無かったんだ。彼自身もいつの間にか本当の自分が解らなくなっちまったんだ。どれだけのモノを手に入れてもね。本当の自分でいれる場所が無ければ孤独なだけなのかもしれねぇ。






僕は解らない。
本当の僕が解らない。優しい僕。冷たい僕。真面目な僕。駄目な僕。強い僕。弱い僕。いったいどれが本当の僕だい?僕は解らない。




解らなくなっちまったんだ。本当のおぃらが。無性に哀しくて哀しくて。誰かを傷付けてまで自分を守るおぃらが無性に嫌でよ。



失ってもいい。傷付いてもいい。独りになっちまってもいい。馬鹿だと罵しられたっていい。大切な事をさ。本当に大切な事をおぃらは取り戻さねぇと。




長い間独りぽっちで沢山の事を考えてね。おぃらは解った事がある。解らねぇ事の方が多いいんだけどよ。解った事がある。おぃらは独りじゃ何もできねぇ。こんなおぃらは独りになった方がいいってそう思ったよ。だけどよ。独りじゃ何もできねぇ。おぃらにはあんたが必要だよ。あんたがいねぇと駄目だよ。ごめんよ。ごめんよ。ごめんよ。



愛しい。愛しい。愛(カナ)しい。歪んだ僕の心よ。せめて大切だと思える人だけは傷付けないでおくれ。

今日のお薦めBGM=mushroom「夏が行く」