独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

eternity fighter

2000年の8月24日。

おぃらが小さな頃から最も憧れたおぃらのヒーローがこの世を去った。K-1世界王者。「鉄人」アンディ・フグだ。






おぃらは幼稚園に入園してからイジメに合っていた。自分じゃよく解ってなかったけどな。2階から突き落とされたりもしたもんだ。
当時のおぃらはいつもヘラヘラしててよ。たぶんね。笑っとかないといけないって無意識に思ってたのかもな。幼稚園で窃盗なんかもしでかしてたからイジメられても当然なんだけどな。そんな小さなおぃらはある日TVで1人の外国人を観た。


それがアンディだ。
当時まだアマチュアだったアンディは日本人だらけの空手の世界大会で快進撃を続けていた。その姿はとても美しくておぃらは衝撃を受けた。
そして隣の家に住んでいた同級生の大吾(ダイゴ)と共に空手道場に通い始めたんよ。





例えばね。仮面ライダーだとか戦隊モノだとかセーラームーンだとかプリキュアだとかよ。小さな頃、誰もがヒーローに憧れてヒーローを見て育って行く。おぃらにはそれがアンディだった。アニメや特撮物じゃなくてアンディは現実に生きている人間なんだけどね。
おぃらにはアンディの戦う姿はどんな怪物を倒すヒーロー共よりも格好よく見えた。愛だの仕事だのも無かった小さなおぃらには全てだったんよ。





アンディに憧れて始めた空手もおぃらにとって初めて本当に楽しいと思える事になった。
アンディの言葉、行動、戦う姿、全てが小さなおぃらを変えて行った。卑怯な事も辞めた。笑って誤魔化すのも辞めた。強くなった。イジメなんかされなくなった。



どんなに崖っぷちに立たされても何度も立ち上がったアンディ。
アンディの戦いを小さな頃からずっと見て育ったおぃらは空手を辞めてからもどんなにグレてもどんなに壊れても煙草は吸わなかったし酒も飲まなかったし卑怯な事だけはしなかった。アンディが煙草も酒もしないからね。アンディはおぃらにとって絶対的なヒーローだったんよ。



でもね。おぃらが高校2年生の夏休みの時。ニュースでアンディが亡くなっちまった事を知った。10万人に1人の確立でしか発病しないと言う「急性前骨髄球性白血病」による病死だった。
おぃらはしばらく信じる事ができなかった。少しして彼女や親友の春君(あだ名)に電話してアンディが死んだ事を話したんだけどね。少しずつ実感が湧いて来て涙が止まらなくなった。


その日、おぃらは久しぶりに大声を出して泣いた。


小さな頃に憧れたヒーローってのはずっとヒーローであって死ぬなんて思わないじゃない?
どんなクソッタレたヒーロー話も最後はハッピーエンドじゃない?どんな崖っぷちにも何度も何度もはい上がって栄光を掴んで来たアンディも最後は病気であっけなく死んじまった。





それからおぃらは煙草を吸い始めて酒も飲みだした。卑怯な事だってするようになっちまった。


だけどよ。今でも月に1回はアンディの試合のビデオを観ておぃらは沢山の勇気を貰うしね。K-1を観る度にアンディを思い出す。こんなクソみてぇな人間になっちまったおぃらだけどよ。アンディはおぃらを見守ってくれてっかな?おぃらを許してくれっかな?


おぃらの小さな夢。おぃらが結婚して家族ができたらね。おぃらの家族を連れて大阪のアンディのお墓に行くんよ。お墓に行ってアンディにおぃらが夢を叶えた所を見せてやるんよ。そして「ありがとう」って言いたい。
きっとね。おぃら涙を堪えきれねぇで泣いちゃうかもな。子供に笑われちまうよ。だからよ。それまではおぃらはアンディに会いには行けねぇんよ。







追卓、アンディ・フグ様。

アンディ。あなたがこの世を去ってもぅ長い時間が過ぎました。おぃらは相変わらずクソッタレた生き方をしてっけどあんたが教えてくれたたくさんの事を忘れずに夢を叶えれるように頑張るよ。
おぃらが夢を叶えるまでおぃらにまた沢山の勇気をおくれ。
アンディはおぃらの心の中で生き続けてっからな。




「あなたにとっての戦いとは何ですか?」

そんな記者の質問にアンディはこう答えたんよ。

「戦いはリング上だけじゃない。人生自体が生きると言う事が常に戦いなのです。」

おぃら達は常に戦いながら生きてるんだな。
切なさにも寂しさにもどんな言葉にも負けない強さが欲しいな。

今日のお薦めBGM=PRINCE「endorphin machine」