独りぽっちの裸のメロDIEー

あんたは寂しくはないかい? あんたは愛に生きているかい? 僕はね。僕は生きてる。生きてるのに死んでる。 そんな独りぽっちの夜に逃げ場所を探し求めて、 「寂しがり屋日本代表」KUSOGAKINGが放つ愛と孤独と裸のクソッタレた言葉達。にゃんにゃん。

My Got Mother Pretty Song、it's last Love Song

ばあちゃんは泣きながらじいちゃんの顔をずっと撫でていた。


「なんで置いて去くの」

「なんで置いて去くの」

「なんで独りにするの」


ばあちゃんはずっと泣き叫んでじいちゃんを離そうとはしなかった。
皆がばあちゃんを引っ張って宥めてたけどばあちゃんは泣きながら倒れ込んじまって火の中へと入っていったじいちゃんの名前をいつまでも叫んでいた。


「じいちゃん」

「じいちゃん」

「じいちゃん」


静かな火葬場の中にはばあちゃんの悲痛な声だけが響き渡っていた。








おぃらのじいちゃんは肺ガンで亡くなっちまった。じいちゃんと言ってもそんなに思い出もねぇ。じいちゃんがどんな人なのかさえ解らねぇ。そんな存在だったじいちゃん。


葬式の日。残されたばあちゃんの姿を見ておぃらは涙を必死に堪えていた。じいちゃんが死んじまったから泣きそうになったんじゃねぇよ。ばあちゃんの愛に泣きそうになっちまったんだ。おぃらは凄く後悔した。こんな素敵な夫婦ともっと会ってれば良かった。こんな素敵な夫婦ともっと触れ合っとけば良かった。

永遠の愛なんてあるの?
真実の愛なんてあるの?
無償の愛なんてあるの?

もしもね。おぃらがじいちゃんにそう聞いていたらよ。じいちゃんはおぃらにきっとこう答えてくれていたと思う。

「あるよ」。



そして先日おぃらは約半年ぶりにばあちゃんを訪ねて行った。時間がたてばたつ程田舎になって行く。
ばあちゃんはじいちゃんと2人でしていた葡萄農園を今は1人でしているらしい。山の中にあるばあちゃんの家に行くとばあちゃんは元気いっぱいの満面の笑みで迎えてくれた。最初は誰だか解らなかったみてぇだけどな。





田舎の方便混じりであまり解らねぇばあちゃんの言葉をおぃらはなんとか聞き取ろうと必死だった。車を運転できねぇばあちゃんを車に乗せて2人でスーパーに買い物に行くと小さな町だからお客さんは皆知り合いみてぇですれ違う度に挨拶する姿にビックリした。






それからばあちゃんとじいちゃんの墓参りに行きお参りをしてばあちゃんを夕飯に回転寿司に連れて行ってやった。「美味しい」とはしゃぐばあちゃんは凄く可愛いかったよ。





今は1人で住んでいるばあちゃんの大きな家。だけどね。ばあちゃんは1人じゃねぇんだ。今もばあちゃんはじいちゃんと一緒なんだ。洋服も食器も布団も車も葡萄農園をする道具も今もそのまま。じいちゃんが生きていた時のままなんだ。



誰も乗らない車も洋服もばあちゃんは親戚共に何と言われようとそのままにしているんだって。「じいちゃんが可愛いそう」ってばあちゃんは小さな体を丸くしながら言ってたよ。

おぃらの中ではじいちゃんは死んじまった。残るのは後悔や少ねぇ思い出だけだ。だけどね。ばあちゃんの中ではまだ終わってねぇ。きっとね。ばあちゃんが死ぬまで終わらねぇ。いや。きっとね。死んじまっても2人は終わらねぇ。そんな気がしたよ。





スーパーに行った時にばあちゃんが友達に「この子私の孫よ」と紹介してくれたのが少し嬉しかった。こんなどうしようもねぇ奴でもよ。今までまったく顔も出さなかった奴でもよ。孫と言ってくれんだ。



帰り際にばあちゃんは1人暮らし大変だろうとばあちゃんが作った野菜を沢山くれたよ。
「また遊びに来てね」
「また遊びに来てね」
「元気でね」。
寂しそうな顔で言うばあちゃん。どうか長生きしておくれ。せめてよ。おぃらが夢を叶えるその日までさ。





永遠の愛なんてあるの?
真実の愛なんてあるの?
無償の愛なんてあるの?

もしもね。おぃらがばあちゃんにそう聞いてみたらよ。ばあちゃんはおぃらにきっとこう答えてくれると思う。

「あるよ」。





じいちゃん。ばあちゃんがね。「じいちゃんがあまり夢に出て来てくれない」ってよ。悲しそうに言ってたよ。たまにはよ。出ていってあげなよ。お願いだよ。



おぃらが好きな人が援助交際をしている夢を見ただなんて唄っている頃もばあちゃんは夢の中でもじいちゃんを探してるんだな。

今日のお薦めBGM=ZARD「MY FRIENDS」