VS 呪怨
最近は天気があまり優れねぇな。雨が降るわ風が強ぇ。こんな日は街に出てミニスカートの女の子のパンチラを見るしかねぇな。にゃんにゃん。
夜行性なおぃらは夜が大好きだ。ミュージシャンってのはだいたい夜行性だもんね。夜の方が曲なんかも作りやすいもん。高校の頃なんかは授業中に歌詞を考えつつ寝てね。家では毎日朝方まで曲作りをしてたもんだ。すったもんだ。
自慢じゃねぇけどおぃらは高校3年間。朝はほとんどまともに学校に行ってねぇ。校門から入った事なんてなかった。いつもグラウンドのおぃら専用のフェンスを乗り越えてこっそり教室に入ってたんだ。たまに生徒指導の先行なんかに見つかって本気で逃げ回ったりしてたもんだ。すったもんだ。
夜にバイトなんかしてたしね。寝れないんだ。特に最近はまったく寝れやしねぇ。不眠症だな。
失恋をした時なんかは夜が恐くてしょうがねぇ。静かな街と真っ暗な空が恐くてしょうがねぇ。それにね。夜はおぃらの心までも闇に包んじまったりもする。彼女とイチャついていたりよ。友達と酒飲み交わして馬鹿騒ぎしてる夜は本当にあっという間に過ぎちまうのにさ。独りぽっち寂しい夜は本当に長いんだ。
昨日の夜も寝る事ができずとりあえず録画していたビデオを見る事にした。面白そうな番組はとりあえず予約してビデオに映してたりするんだ。寂しい夜に気を紛らわしてくれるからね。
録画した「アメトーク」を見終わってビデオをほったらかしにしてたらね。なんだか見た事のある映像が流れてきやがった。エッチな映像じゃねぇよ。そうだ。きやがったんだ。あいつがきやがったんだ。「呪怨」だ。
たぶん昔録画してた奴だと思うんだけどね。突然TVに沸いて出てきやがった。ホラーがけっこう好きなおぃらだけど真夜中に独りぽっちの部屋で見た事はさすがに無かった。すぐさまビデオをぶっ壊そうと身を乗り出す。すると「ウッ!!」
まるで金縛りにあったかの様におぃらの体は動かなくなっていた。
外は風が強く窓がガタガタガタガタ揺れておぃらの背中には寒気が走り体がガタガタガタガタ震えやがる。これは本当にヤバイと思い誰かに助けを求めようと携帯電話に手を伸ばそうとするが体が動かねぇ。TVの中では奥菜惠ちゃんが危ねぇ。
変な男の子がそこにいるよ。そこにいるよ。馬鹿野郎そんな所行くじゃねぇよ!!心の中で必死に叫ぶが奥菜惠ちゃんには届かねぇ。
体が動かずだんだん息苦しくなってきた。本当にね。たださ。ただTVには「呪怨」が流れてるだけなのにね。本当にヤバイと思った。畜生。畜生。畜生。
カチャ。
その時だ。ビデオが終わっちまってTVの画面から「呪怨」の映像は消えた。すると体が動くようになりおぃらはすぐにビデオを取り出しゴミ箱に捨ててやった。
本当にね。ヤバイと思った。おぃらに霊感があるのかどうかは解らねぇけどよ。体が硬直して動かなかった。そういえばね。おぃらが今住んでるアパートは新築でよ。できてまだ1年もたってねぇんだけどさ。アパートが立つ前は田んぼとお墓があったって聞いた事ある。そんな事聞いた瞬間に忘れてたけどもしかしたらそんな事も関係あるのかな?本当に怖かった。こんな恐怖体験をしたのは始めてだ。
とりあえずビデオを見るのも怖くておぃらは寝る事にした。電気を消して布団に包まってこの恐怖体験を誰かに伝えようと携帯電話を手に取った。その時だ。
「アアア...アアアアアアアア...」
どこからともなくうめき声が聞こえてきた。「嘘だろ?」「なんだこりゃあ」。おぃらは必死に毛布で身を包んだ。体がガタガタガタガタ震えて止まらねぇ。
「アアア...アアアアアアアア...」
奇怪な声がすぐ側から聞こえる。布団の隙間からTVをこっそり見てみるがTVは消えたままだ。「畜生~クソッタレ~やめてくれよ~」。気がおかしくなっちまいそうなおぃらは部屋の隅にあるインターフォンが光ってるのを見た。
本当にヤバイと思いつつ毛布に包まったままおぃらはインターフォンへと近づいた。そしてインターフォンの映像を見てみると。。。
誰もいませんでしたとさ。嘘だもーん。だけどね。呪怨のビデオを見たのは本当だよ。怖くてすぐ消しちゃったけどね。孤独な夜との戦いも怖いけど真夜中に独りで見るホラー映画との戦いも怖くておぃらには無理だ。
今日のお薦めBGM=MAROON5「THROUGH WITH YOU」