僕等は歴史の上に生きてる
少し前にある賞状を見つけた。当時の日本国内閣総理大臣「小泉純一郎」氏から戴いた賞状だ。
「第1回寂しがり屋世界選手権大会」にて寂しがり屋日本代表として出場したおぃらはその寂しがり屋ぶりをいかんなく発揮し見事に世界選手権優勝を納め小泉総理より表彰状を戴いたのさ。嘘だけどな。
その賞状はおぃらの祖父の弟さんにに送られたものだ。大伯父って言うらしいな。
今からもぅ70年以上も昔かな。大伯父が18才とか19才くらいの時に戦争が始まって当然の用に戦争に駆り出された大伯父は幾つもの武勲をあげ少しずつお偉いさんになったそうだ。今で言やぁ平社員が係長、部長、課長と昇進して行くみてぇな感じだろうな。
そして大伯父は戦争の流れの中、ロシアへと派遣され二度と日本へ帰って来る事は無かったそうだ。
それから70年以上たってその大伯父の死亡が確認できたと日本政府からハガキが来た。
ハガキによると大伯父は極寒のロシアにて捕虜となり2年程生き抜いたが最後は寒さと飢えにより息耐えたんだとさ。
顔も知らない大伯父。おぃらが生まれるずっと前に死んじまった大伯父。だけど。だけどさ。あんたはきっとおぃらをずっと見守ってくれてたんだろうな?
嘘みてぇな話でおぃら誰にも話してないんだけどさ。おぃら夢の中で大伯父と会った事があるんだ。たぶんね。どっかの人気も無い街の片隅を歩いててさ。吹雪の中で寒そうに座ってるおじいちゃんに会ってさ。
おじいちゃんの家族の話とか恋人の話を延々と聞かされてさ。その時おじいちゃんは寒いんだろうにずっと優しくて暖かい笑顔で話しててね。あんまりにも暖かい笑顔で話するからおぃらいつの間にか寒さなんて忘れちまっておじいちゃんにもたくさんおぃらの話聞いて貰ったんだ。
その夢をおぃらは今まで何度も見た事あるんだ。その夢を見た朝はいつも不思議と穏やかな気持ちになれてておぃらはきっとあのおじいちゃんがおぃらの大伯父なんだと思ってる。
大伯父。あんたは戦争でいったいどんな悲惨な景色を間の辺りにしたんだろうな。捕虜となりいったいどんな悲惨な仕打ちを受けて来たんだろうな。寒い寒いロシアで独りぽっちで泣いてたんかな?
70年あまりたっておぃらにあんたの存在を教えてくれたのはきっと天国からお前も頑張れって言ってくれてるんだろうな。
今までだって夢の中でおぃらをたくさん励ましてくれてたんだろうな。
はっきりとは解らないらしいけど5月20日が大伯父の命日なんだと。そして大伯父の兄貴になるおぃらのおじいちゃんの命日も5月だ。大伯父は今は独りぽっちじゃなくなってるのかな?
賞状と一緒に送られて来ていた銀杯で豪華に酒を飲みながらいつかおぃらはこの話をおぃらの子供達に伝えて行こうと思うよ。
今日のお薦めBGM=モンゴル800「星の数 月の数」